目次
不安になり、考え込んだ数日間の記録です。個人開発の暮らしを少し具体的に知ってもらい、同じ落とし穴に出会った人の参考にもなればと思います。
先週木曜の朝
「体験を共有してメンバーシップを受け取る」企画を始めた直後、アプリがApp Storeから消えました。真っ先に浮かんだのは、「企画がAppleの規約に触れて、即座に削除されたのか?」という不安でした。
急いでApple Developerを開きました。違反を示す赤い表示はありません。代わりに、年に一度のApple Developer Programの更新で、自動支払いが失敗していたとわかりました。
少し安心しました。手動で更新料を払えばいいだけだ、と思ったのです。
でも、簡単ではありませんでした。Appleの公式文書どおりに探しても、どこにも更新ボタンがありません。
エラーも、案内もなく、支払いボタンがあるはずの場所が空いているだけ。
ネット中を探しても、ほとんどの人がサポートを頼るしかなかったようです。すぐにAppleへ緊急の問い合わせを送りました。
その間にも、企画を見た人が増え、「数日前に買ったのに、App Storeで見つからなくなりました」と連絡が届きます。
送信後は、一分おきに受信箱を更新。数時間で何回押したか、わからないほどでした。
木曜の夜
米国はまだ木曜日。寝ている間に対応してもらえるかもしれない、と希望を残して眠りました。
金曜の朝
朝5時、ぼんやりと受信箱を確認。未読は0件。
金曜の夜
不安が増えてきます。開発者がどれほど緊急でも、Appleの担当者には週末があります。
時差があるから、土曜の朝までは返事が来るかもしれない。そう考えて、自分を落ち着かせました。
土曜の朝
やはり0件。
月曜までに解決するという希望は、なくなりました。もしアカウントの問題がずっと直らなかったら、どんな代替策が必要か。そんな最悪の想像までし始めました。
週末
家族と出かけました。楽しめたかと聞かれれば、不安を感じなかったと言うのは嘘になります。
不思議な感覚でした。開発者という自分を取り上げられ、ただの一人の人に戻ったような。 普段なら旅先でも、アプリの細かなデザインが頭に浮かびます。でも、そのときは思いつくたび不安になるので、考えないようにしていました。
気を紛らわせようと短い動画を見ても、忙しい間に少し休むのとは違います。危機の中で続く空白は、充電どころか、元気を消耗させました。
日曜の夜
夜には、開発のリズムへ戻りました。
公開されていないアプリを作るのは、複雑な気持ちです。いつもは世界で元気に動いている、忠実なペットのようなアプリたちが、今はパソコンの中で静かに身を寄せているようでした。
自分を落ち着かせるため、PlanCoachに 「雨」 の集中環境を作りました。
雨や自然のホワイトノイズは、前から要望がありました。でも、自分で誇れるデザインが見つからず、保留にしていた機能です。自分が誇れない形なら、公開しない。 それが、いつもの基準でした。
ちょうど自分に必要になったとき、ようやく着想が来たのです。
日曜の深夜、やわらかな雨音、小さな波紋、作れたという手応えで、気持ちがずいぶん楽になりました。この記事を書いている今も、その雨を聞いています。温度も感情もない雨が、なぜか落ち着きをくれます。
振り返ると、週末にAppleへ5通のメールを送りました。暮らしにも信頼にも関わる緊急事態だと、言葉を変えながら訴えていました。
月曜の朝
10時ごろ、返事が来ました。問い合わせの増加で返信が遅れたことへのお詫びと、対応手順。
けれど、問い合わせの内容は読まれていないようでした。 何度も読んだ標準文書のリンクが、貼られていただけでした。
ブラウザを閉じる前に届いてほしいと、すぐ返信。当然のように、すぐの返事はありません。
同じ経験をした開発者の言葉を思い出しました。「Appleにお金を払うのが、こんなに難しいなんて」。
月曜の午後
もしかして、開発者アカウントに紐付いたApple Accountの支払い方法では?
管理画面に入ると、カードは登録済みでしたが、手動での支払い方法の確認が必要 でした。
確認を終えても、開発者向けの画面に更新ボタンは出ません。それでも、一歩は進みました。
そのとき、別の投稿を思い出しました。更新がApple Developerアプリではなく、iOSのサブスクリプションに出る場合がある、という話です。
見てみると、iOSのサブスクリプション一覧に、更新ボタンが現れていました。 前にも見たのですが、そのときは支払い方法が未確認だったため、出ていなかったようです。
すぐに支払いました。
App Storeを更新。でも、まだ戻りません。
App Store Connectへ行くと、それまで無効だった契約がいくつか、確認・同意できる状態になっていました。
同意して数分待ち、またApp Storeを更新。戻っていました。思わず声を出しそうなくらい、ほっとしました。
そのあと
水曜の夜になっても、Appleから二度目の返事は来ていません。自分でつかまる綱を探すしかないこともあります。
掲示板に、「一週間前に買い切りを買ったばかりで、消えていて驚きました。頑張ってください」と書いてくれた人がいました。深く胸に残りました。信じてくれた一人ひとりに、長く続ける気持ちを見せたい。でも、言葉より行動です。時間で示していきます。
もうひとつ、できていたことが突然できなくなると、その大切さが身にしみる と知りました。更新を出せない数日間、少しずつ届ける日々が、たまらなく恋しかったのです。
公開できないもどかしさ、不安、たまる創作意欲。「今出せるなら、新機能をたくさん出したい」と何度も考えました。
また扉が開きました。これからも、改善を届けていきます。